 
                                      HMI(ヒューマンマシンインターフェース)とは?
役割と重要性、活用事例を詳しく解説
                                            HMI
                                            (ヒューマンマシンインターフェース)とは、人間と機械の間で情報をやり取りする手段や仕組みのことを指します。例えば、パソコンのディスプレイやキーボード、スマートフォンのタッチパネルなど、人間からの指示を受け取り機械からの情報を提示する技術全般が該当します。
                                              
                                                
HMI
                                              は、人間が機械に指示を出す「入力」と、機械が人間に情報を伝える「出力」要素で構成されています。前者にはキーボードやスイッチ・音声入力デバイス、後者にはディスプレイ・警告ランプ・スピーカーなどがあります。
                                              
                                                
                                              こうした体系的なインターフェースにより、業務の効率化やミスの削減が可能になります。
                                              
                                                
                                              本記事では、
                                              HMIの役割やその重要性について、
                                            
                                            具体的な用途と事例を交えて
                                            解説します。
                                          
HMIの役割と重要性
HMI は単なる操作手段ではなく、安全性や利便性を高めるうえで重要な役割を担います。
HMI が果たす役割として特に大きいのは、機械が出す情報を人間に適切に伝達し、人間の意図を正確に機械へ反映させる部分です。誤った情報が伝われば大きな事故につながりかねず、正確なユーザーインタラクションを確保することが安全確保の要といえます。
また、 HMIの設計次第で、作業効率が大幅に変わることも見逃せません。論理的な画面遷移やわかりやすいボタン配置など、ユーザーがどれだけストレスなく操作できるかがシステム全体の生産性を左右する要素となります。
 
                                                            人間に寄り添うインタラクション設計の重要性
HMIにおいては、人間の認知特性や感覚特性をしっかりと理解することが求められます。視覚だけでなく、音声や触覚などさまざまな感覚を組み合わせて情報を提示することで、操作ミスの軽減と使いやすさの向上が期待できます。
                                            
例えば、ヒューマンセンターデザインの概念を取り入れることで、ユーザーの行動や思考プロセスに合った画面フローを設計できるようになります。これにより、初心者でも直観的に操作を行えるインターフェースを提供可能です。
                                            
効率のみを追求すると、ユーザーが疲れやすいインタラクションになりかねません。人間に寄り添う設計は長時間の利用や特殊な環境下でも重要であり、トータルのシステム品質を左右する大きな要素となっています。
                                          
利便性の向上と安全性への寄与
HMI の利便性が高まることで、機械を意識せずに必要な作業に集中できるようになります。これにより、業務効率が向上すると同時に、エラーの発生確率も減らすことができます。
また、しっかりとした警告表示やアラート機能が備わっていれば、機械の異常が発生する前に対処できる可能性が高まります。事故を未然に防ぐことで、作業者の安全を確保し、企業の信用向上にもつながります。
ユーザーがどのようにシステムを操作するのかを事前に想定し、プロトタイプレビューなどを繰り返すことで使い勝手を高めることができます。 UIデザインや操作シーケンスを改善し、より直感的に利用できるように配慮しましょう。最終的には、ユーザーがストレスなく操作できる HMIこそが、本来の効果を最大化するポイントになります。
HMI市場の動向
HMI の市場は、自動車業界や製造業での需要が拡大しつつあります。特に自動車分野では、自動運転や安全運転支援システムを支える車載 HMIの需要が高まり、タッチスクリーンや音声 UI の導入が積極的に行われています。
製造業やインフラ管理の現場でも、 HMIが生産効率の向上や人的ミスの低減に大きく寄与しており、工場全体の自動化や遠隔監視を支える重要な基盤になっています。これらの現場では、 労働力不足を補う手段としても、 HMIの活用がいっそう注目されています。
HMIの主要な用途と具体例
HMI はさまざまな業界で活用されていますが、ここでは具体的な事例を業種別に確認します。
HMI は、人間と機械が互いの状態を正確に把握しながら円滑にコミュニケーションを行うために、欠かせない要素です 。 事業領域ごとに求められる機能は異なるものの、タッチディスプレイや音声認識といった技術を取り入れたインターフェース設計は、いずれの業界においても大幅な業務効率化が期待されています。
自動車(車載HMI)における活用事例
車載 HMIでは、ドライバーの操作負担を減らしながら安全性を高めるために、音声コマンドやタッチパネルを活用する事例が増えています。例えばカーナビゲーションシステムでは、地図表示だけでなく交通情報や天候情報の提示をリアルタイムで行い、運転者の判断を支援します。
さらに先進運転支援システム( ADAS)と連携した HMIは、センサー情報を統合して事故を未然に防ぐ仕組みを備えています。車線維持支援や自動ブレーキなどは、視覚情報や音声アラートなどを使ってドライバーへ素早い注意喚起を行います。
こうした車載 HMIは、自動運転技術の進化にも不可欠であり、将来的にはハンドル操作さえ最小限にし、乗車中にさまざまな情報・サービスを受けられる快適な移動空間が実現すると期待されています。
建設機械におけるHMIの活用事例
建設機械におけるHMIは、主にオペレーターの操作性向上と安全性確保に貢献します。
 
                                                            ■ リアルタイムな情報表示
                                            
車載HMIのカーナビゲーションシステムのように、建設機械のHMIも作業状況に関するリアルタイム情報を提供します。具体的には、掘削深度、負荷状況、燃料残量、エンジンの稼働状況などがディスプレイに表示され、オペレーターはこれらの情報に基づいて効率的かつ安全に作業を進めることができます。
                                          
■危険回避システムとの連携
                                            
ADASとの連携と同様に、建設機械のHMIは周囲のセンサーと連携し、障害物検知や作業範囲の警告を行います。例えば、クレーンの旋回範囲内に人が侵入した場合、HMIを通じて視覚的警告や音声アラートを発し、事故を未然に防ぎます。
                                          
■遠隔操作・自動化の推進
                                            
将来的には、建設機械のHMIも自動運転技術のように、遠隔操作や半自動運転、完全自動運転の実現に不可欠です。HMIを通じて遠隔地から機械を操作したり、特定の作業を自動で実行させたりすることで、危険な場所での作業を減らし、生産性向上に貢献することが期待されます。
                                          
プリンター機器におけるHMIの活用事例
プリンター機器におけるHMIは、主にユーザーの操作性向上と利便性の提供に貢献しています。
 
                                                            ■直感的なタッチパネル操作
                                            
近年のプリンター、特に複合機では、大型のカラータッチパネルがHMIとして広く採用されています。これにより、印刷設定(用紙サイズ、両面印刷、部数など)やスキャン設定、コピー設定などを、スマートフォンを操作するような感覚で簡単に行うことができます。これにより、マニュアルを見なくても直感的に操作できるため、ユーザーのストレスを軽減します。
                                          
■ステータスとエラーの通知
                                            
車載HMIが交通情報や天候情報を表示するように、プリンターのHMIはインク残量、用紙切れ、紙詰まりなどのステータス情報をリアルタイムで表示します。また、エラーが発生した際には、具体的なエラー内容と解決策を画面に表示することで、ユーザーによる迅速な対応が可能になります。
                                          
■ネットワーク機能との連携
                                            
プリンターのHMIは、ネットワークと連携してクラウドサービスからの印刷や、スキャンデータのクラウド保存などを可能にします。これにより、PCを介さずに直接プリンターから各種サービスを利用できるようになり、利便性が格段に高まります。
                                          
■ユーザー認証とセキュリティ
                                            
企業向けのプリンターでは、HMIを通じてユーザー認証(ICカードやパスワードなど)を行い、セキュリティを強化しています。これにより、印刷物の持ち出し制限や利用状況の管理が可能になり、情報漏洩リスクを低減します。
                                          
HMI開発を支えるツールの紹介
多機能なHMIの開発には、多くの開発工数がかかります。HMIオーサリングツールを活用することで、開発の効率化やUIの品質向上が期待できます。
                                            
HMIオーサリングツールとはHMIを視覚的かつ効率的に設計・開発するためのソフトウェアで、プログラミングの専門知識がなくてもGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を直感的に作成できるのが特徴です。
                                            
加賀FEIでは「UI Conductor」と「CGI Studio」という2つの組み込み向けHMIオーサリングツールを開発しています。
                                            
車載向けメータークラスター、ヘッドアップディスプレイ、ナビゲーション、周辺監視システム、車載以外にもプリンター、デジタルカメラ、建設機械など、多くの機器で広くご採用いただいております。
                                            
                                          
 
                                                            CANDERA UI Conductor、 CGI Studio 製品ページはこちら
まとめ
HMI(ヒューマンマシンインターフェース)は、人間と機械をつなぐ要として社会や産業を支える重要な技術です。自動車や製造業、医療分野など応用範囲は多岐にわたり、市場規模や需要も拡大傾向にあります。さまざまな業界で活用が広がるHMIは、今後もシステムの中核として発展していくことが期待されます。
HMIやUI/UXについてのお困りごと、気になる点などございましたら、お気軽にご相談ください。