Bluetooth® Low Energyモジュールとは?
用途や導入メリットを解説
無線モジュールは、無線チップと必要な周辺回路を小型基板に搭載した電子部品です。
なかでもBluetooth® Low Energy (以降、「Bluetooth LE」と表記します)通信に対応したモジュールは、ウェアラブルデバイス、IoT機器など、様々な電子機器に組み込まれています。Bluetooth Low Energyは通称、BLEと呼ばれることも多いですが、正式にはBluetooth Low EnergyまたはBluetooth LEと表記します。
この記事では、Bluetooth LEモジュールの特長とその用途、導入における具体的なメリットを解説します。
Bluetooth LEモジュールとは?
モジュールの基本と特長
モジュールには無線チップだけでなく、通信に必要な周辺回路が既に搭載されています。今では各メーカーから様々な無線モジュールが販売されており、
・通信規格(Bluetooth LE / Wi-Fi / ZigBee など)
・通信距離、消費電力
・モジュールサイズ
・無線ICチップ
・アンテナ 内蔵 / 外付け / 複数利用可能
など、スペックにより多くの選択肢から選ぶことができます。
モジュールの中には通信に必要なソフトウェアがセットになっており、アプリケーションソフトウェアの新規開発が不要になるタイプもあります。そのため無線チップを自前で調達し、1から設計せずとも、モジュールを実装するだけで手軽に製品を無線化することが可能です。
加賀FEIのBluetooth LEモジュール 世界最小クラスの「ES4L15BA1」
1cm未満の基板に、周辺回路とアンテナも内蔵
デュアルモードとシングルモードの違い
Bluetoothモジュールにはデュアルモードとシングルモードの2種類があり、対応デバイスの広さが異なります。
■デュアルモード
Bluetooth ClassicとBluetooth LEの両方をサポートしています。音声ストリーミングや比較的大容量なデータの転送が可能ですが、消費電力がBLEより大きいため、電池動作の場合、容量によっては高い頻度で電池交換や充電が必要です。
■シングルモード
Bluetooth LEのみをサポートし、省電力と小規模データ通信に特化しています。Bluetooth Classicとは接続できません。ウェアラブルデバイスやビーコンなどの小型デバイスに向いており、通信頻度によってはコイン電池でも年単位で動作させることもできます。
Bluetooth LEについての詳しい解説、Bluetooth Classicとの違いについては、以下の記事もご参照ください。
「Bluetooth® Low Energyとは?無線の特徴やWi-Fiとの違い、利用例を解説」
Bluetooth LEモジュールの用途
IoTデバイスとの連携
Bluetooth LEは低消費電力での通信が可能なため、IoTデバイスと相性が良い規格です。
例えばスマートホームシステムでは、照明制御や空調装置の温度調節、スマートロックをはじめとするセキュリティシステムとの連携に多く活用されています。産業分野でも各種センサーが取得したデータを集約し、測定値の見える化を実現しています。
ウェアラブルデバイスでの利用
Bluetooth LEモジュールは、電池寿命が重要なウェアラブルデバイスにも適しています。スマートウォッチやワイヤレスイヤホンなど、長時間の連続使用が可能になります。
また、多くのウェアラブルデバイスは小型化が求められますが、Bluetooth LEモジュールは非常にコンパクトです。これにより、デバイス設計においても柔軟性が増し、より多様なデザインや機能を実現することができるようになりました。さらにBluetooth LEはスマートフォンやタブレットとの親和性も高く、デバイス間のシームレスな通信が可能です。
スマートフォンアプリへの応用
Bluetooth LEはほぼすべてのスマートフォンが対応しているため、IoTデバイスやウェアラブルデバイスを、スマートフォンアプリと簡単に連携することができます。
スマートロックは専用アプリを使うことで、スマートフォンからのリモートコントロールが可能になります。ウェアラブルデバイスはアプリ上から、端末の設定を変更できます。その他健康管理アプリやフィットネストラッカー、ヘルスケア、産業用デバイスなど、様々な分野で応用が期待されています。
「スマートシューズ」への活用例
靴底に超小型Bluetooth LEモジュールが封入されたセンサーユニットが組み込まれ
歩行データをリアルタイムで収集し、専用アプリでデータを表示
Bluetooth LEモジュール採用のメリット
Bluetooth LEモジュールを採用することで、企業や開発者には数多くのメリットがあります。主に製品の開発スピードを向上させ、コスト削減が実現できることですが、メリットについて詳しく解説していきます。
無線回路の設計が不要
Bluetooth LEモジュールを利用することで、無線回路の設計が不要になります。Bluetooth LEモジュールには、すでに無線通信に必要な回路が組み込まれているため、開発者はその部分に対する専門的な知識や時間を割く必要がありません。
デバイスにモジュールを組み込む際、無線回路の設計や評価を省略できるので、無線通信に関する開発コストを軽減できます。
電波法認証の取得が不要
Bluetooth LEモジュールの多くは既に電波法認証を取得しているため、認証のための開発期間やコストを大幅に削減することが可能です。
Bluetooth LEに限らず、国内で使用する多くの無線モジュールには、特定無線設備の「技術基準適合証明・工事設計認証」等のマーク(技適マーク)が付いています。
国内で無線機を使用するには電波法令の技術基準に適合していることが必要で、特定無線設備に付いている技適マークは、電波法に適合していることを証明するものです。無線モジュールが電波法認証を取得しているかは、製品本体や取扱説明書に技適マークがついているかを見ることで確認することができます。
なお、海外でも同様に、各国が定める独自の電波法があり、「どの国の電波法認証を取得しているか」は無線モジュールにより異なります。最終製品を販売するエリア(国)の電波法認証が既に取得されていれば、時間とコストを大幅に削減でき、製品を迅速に市場へ投入することが可能となります。
加賀FEIのBluetooth LEモジュールは、日本・アメリカ・カナダの電波法認証を取得済です。世界最小レベルの超小型無線モジュールをはじめ、20種類以上のラインナップをご用意しています。
まとめ
Bluetooth LEモジュールは、低消費電力でデバイス間通信を可能にする製品です。その用途はIoTデバイスやウェアラブルデバイスなど多岐にわたり、トータルコストの低減、開発期間の短縮など多数のメリットがあります。
近年はモジュールの種類も大幅に増え、スペック・用途に合ったモジュールがきっと見つかります。加賀FEIでは、20種類以上のBluetooth LEモジュールを取り揃えております。
モジュールの使い方だけでなく、無線化に関するお困りごとからでも、まずはお気軽にお問い合わせください。