Bluetooth® Low Energyとは?

無線の特徴やWi-Fiとの違い、利用例を解説

Bluetooth® Low Energy (以降、「Bluetooth LE」と表記します)は、日常生活の多くの場面で活用されている無線通信技術です。
多くの無線通信技術が存在する中で、Bluetooth LEは特に低消費電力とシンプルな接続方法が特徴です。Bluetooth LEは、2009年に
Bluetoothの一部として導入され、以来、その応用分野は急速に拡大しています。
Bluetooth Low Energyは、通称BLEと呼ばれることも多いですが、正式にはBluetooth Low EnergyまたはBluetooth LEと表記します。

本記事ではBluetooth LEの基本知識や特徴をはじめ、Wi-Fiなど他の無線技術との違いや、具体的な利用例について解説します。

なお加賀FEIのBluetooth LE対応無線モジュールは、データシートや仕様詳細について、当社サイトにてご確認いただけます。

Bluetooth LEとは?

Bluetoothは近距離の無線通信技術の1つです。そのBluetooth規格の中で、2009年に発表されたBluetooth4.0で追加された通信方式を
Bluetooth Low Energy (ブルートゥース・ロー・エナジー)、またはBluetooth LE(ブルートゥース・エル・イー)と言います。
Bluetooth LEと区別するために、従来のBluetooth通信方式はBluetooth Classic(ブルートゥース・クラシック)と呼ばれています。

Bluetoothとは?

Bluetoothは低消費電力の通信を実現できる無線通信技術です。スマートフォンとワイヤレスイヤホン、パソコンとワイヤレスマウスなど、
様々なデバイス同士が無線で直接接続され、手軽に使用できます。

Bluetoothは多くのデバイスに標準搭載されており、その利便性から日常生活の多岐にわたるシーンで活用されています。例えば、ウェアラブルデバイスやフィットネストラッカー、スマートウォッチなど、数多くのスマートデバイスがBluetoothを利用してデータをやり取りしています。ケーブルによる配線が不要であるため、デバイス間の自由な配置が可能です。

Bluetooth LEの特徴

Bluetooth LEは、従来のBluetooth Classicよりさらに省電力にした通信方式です。

<通信の特徴>
・低消費電力、バッテリー駆動のデバイスも長期使用可能
・通信距離は数メートル~100メートル程度 ※加賀FEIでは長距離対応モジュールもございます。
・通信レートは低く、動画データ転送などは不向き

このようにBluetooth LEは、センサーとのデータ通信など、比較的小さいデータを送受信するシステムに向いた仕様です。また多くのスマートフォンやタブレットに採用されている規格のため、対応製品が多く、アプリケーション開発がしやすい環境があることも特徴です。

Bluetooth  LE を使用したスマートデバイスのイメージ

Bluetoothのバージョンとは?

Bluetoothは1999年のバージョン1.0以降、機能拡張とともにバージョンアップされてきました。Bluetooth 4.0からBluetooth LEが登場し、電力効率が大幅に向上しました。それによりスマートデバイスへの普及が進み、スマートフォンのBluetooth搭載率はほぼ100%になりました。Bluetooth 5.0のBluetooth LEは、一つ前のBluetooth 4.2のBluetooth LEに対して、スループット、データ容量、通信範囲が向上しています。

2024年8月27日には、Bluetooth SIGよりBluetoothバージョン6.0が発表されました。Bluetooth 6.0で「Bluetooth Channel Sounding」機能が追加されたことにより、Bluetoothデバイス同士の距離測定がより正確になり、(紛失防止用タグを使った)紛失物の見つけやすさなどが大幅に改善すると言われています。

Bluetooth LEとBluetooth Classicの違い

Bluetooth Low Energyは低消費電力に特化しており、通信の頻度によってはコイン電池による駆動も可能です。一方で通信速度は速くないことから、動画データなど、大容量のデータ送信には向いていません。また通信規格が大きく変更されており、Bluetooth Classicとの互換性はなく、用途が異なります。

Bluetooth Classicはパソコン周辺機器、スマートフォン周辺機器やデジタル家電で使われており、キーボード、マウス、ヘッドセットなど主にポイントツーポイント接続の用途で使用されます。これに対しBluetooth LEはセンサーとのデータ通信など、小さいデータ送信に向いた仕様になっており、健康管理機器、スポーツ用機器、家電製品、IoT 機器などに採用が拡大しています。

Bluetooth LEの通信方法

Bluetooth LEの通信方法には、通信相手を特定した上でデータをやり取りする方式「コネクション型」と、通信相手を特定せず発信側が一方的にデータを送る方式「ブロードキャスト型」の2つに分けられます。コネクション型の場合は、Bluetooth LEデバイスはCentral(セントラル)とPeripheral(ペリフェラル)の役割に分かれ、ブロードキャスト型の場合はObserver(オブサーバー)とBroadcaster(ブロードキャスター)の役割に分かれます。

CentralとPeripheral

コネクション型では、一般的な無線通信でいうところの親機をCentral、子機をPeripheralと呼びます。通信接続を確立した後はペアリングを経て、双方向でのデータ通信を行います。その際、暗号化通信を行うことも可能です。
多くのCentralはスマートフォンやパソコンなどが該当し、Peripheralは接続を要求する側であるフィットネストラッカー(活動量計)などのデバイスになります。この場合はスマートフォンがCentralとして、Peripheralのフィットネストラッカーのデータを収集し、その結果をスマートフォンのアプリなどで表示させています。

ObserverとBroadcaster

ブロードキャスト型ではBroadcasterが発信側となり、一方的にデータを送信します。Observerが受信側となり、制約なくデータを受信することができます。代表的な使われ方は「ビーコン」です。
特定の場所に置かれたビーコンデバイス(Broadcaster)に、スマートフォン(Observer)が近づくと自動的にビーコンのIDデータを受信し、スマートフォン上の専用アプリで、各ビーコンIDに紐づいた専用コンテンツをクラウドから取得することできます。お店に着くとクーポンを受信する、スタンプ地点でデジタルスタンプラリーを行えるなど、主に位置情報と組み合わせたサービスで活用されています。

Bluetooth LEと他の無線技術との比較

Bluetooth LEとWi-Fiの違い

Bluetooth LEとWi-Fiを比較すると、Bluetooth LEは低消費電力に特化しており、スマートデバイスの周辺機器を一つひとつワイヤレス化したい時に重宝します。対してWi-Fiは圧倒的な通信速度の速さを活かし、大容量ファイルのダウンロードや中距離ネットワークの構築が得意です。その分消費電力は大きく、電池駆動での長期利用には向きません。
なおBluetooth LEの周波数は2.4GHz、Wi-Fiは主に2.4GHz帯 / 5GHz帯を使用しています。Wi-Fiで2.4GHzを使用する際にBluetooth LEも使用すると、電波干渉が起こり、通信状態が悪くなることがあるため注意が必要です。

Bluetooth LEとZigBeeの違い

Bluetooth LEとZigBeeはどちらも低消費電力の無線通信技術ですが、Bluetooth LEはZigBeeよりもデータ転送速度が速く、Bluetooth対応機器が多く開発しやすいのが特徴です。ZigBeeはセンサーネットワークに非常に適しており、同時にネットワーク接続できる台数も多く、大規模なネットワークが必要な産業オートメーション分野などで利用されています。その一方でZigBee対応機器がBluetooth LEに比べて少なく、開発環境の制限を感じる場合があります。
Bluetooth LE、Wi-Fi、Zigbeeを比較したものが下記表です。通信距離や速度は通信環境、電波状況などにより大きく変わってくるため、数値はあくまで目安となります。

Bluetooth LE / Wi-Fi / ZigBeeの性能比較

  通信距離 通信速度 消費電力 主な用途
Bluetooth LE  ~100m 中速
(125kbps-2Mbps)
 低  コイン電池で長期間動作、ビーコン
Wi-Fi  ~200m 高速
(54Mbps-数Gbps)
 中  動画ストリーミング、大容量ファイルのダウンロード
ZigBee  ~30m 低速
(20-250kbps)
 低  大規模センサーネットワークの構築

Bluetooth LEの利用例

ここまでBluetooth LEの特徴を解説しましたが、無線通信技術として使い勝手のよいBluetooth LEは、近年様々な分野で利用されています。

Bluetooth  LE の利用例

Bluetooth  LE の利用例

このようなBluetooth LE通信機能は、「Bluetooth LE無線モジュール」をデバイスに組み込むことで、手軽に実装することが可能です。
無線モジュールとは、無線チップと必要な周辺回路を小型基板に搭載した電子部品のことです。

加賀FEIでは、世界最小レベルの超小型無線モジュールをはじめ、20種類以上のBluetooth LE無線モジュールを用意しております。
各モジュールのデータシートや仕様詳細は、当社Webサイトにてご覧いただけます。

まとめ

本記事では、Bluetooth LE(Bluetooth Low Energy)の特徴から、他の無線技術との比較、利用例について解説しました。Bluetooth LEはその省電力性と運用の容易さから、身近なところで積極的に利用されており、特にヘルスケアやフィットネス、スマートホームやスマート家電といった分野での活用が進んでいます。
Bluetooth LEは主要なスマートデバイスのほとんどが対応していることもあり、これからも様々な分野での活躍が期待されています。

Bluetoothやモジュールについてのお困りごと、気になる点などございましたら、お気軽にご相談ください。

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